返ってきたミトラ通信

おおいなる調和を目指してしなやかに生きる。

Planet-earth-2

母の顔が曇った。一瞬だったが、顔が曇ったのを私は見逃さなかった。

 

「そうなの。そういえばよくみるわねぇ。」

 

いま、テレビの画面に映っているあの男は、実は、母の昔の夫ということのようだ。あの男は、母と同棲していたらしく、私が母のおなかの中にいるのが分かると、母を捨てて出て行ったと聞いている。状況から考えると、あの男は父なのだろう。

 

あの男は、もういい歳なんだけど、神鳴極眼(かみなりきわめ)という。背も高く、甘いマスクで、官能的な甘い声でしゃべる。私よりも年下の女子から、大年増の女子まで、女性ファンが多い。彼女たちは、もはや信者みたいだ。

 

週刊誌によれば、誰々の再来とか言われている。あの男がプロデュースしたものは何でもはやる。何とかデザイナーも、何とかというペンションも、雑貨店も、みんな繁盛してしまう。あの男の講演会など、秒殺で満員御礼になるらしい。

あの男は、女神の生まれ変わりとか言われている女を妻としているようだ。今の奥さんと一緒になってから表の世界で売れ出したらしい。

そして、あの男の後ろには、占い師、政治家などが控えている。表も力も裏の力も持った人物なんだとか。最も週刊誌の話だから、どこまで本当かわからないが、そういう男らしい。

 

あの男は、用がなくなったら別の女を手に入れて、裏の力と、表の力を手に入れて、何もかも手に入れて、世の中を動かすのだろう。世の中、なんでも手に入れてしまう男はいるものなのだ。私には、光源氏に見えて気持ち悪い。

 

「おじさん、番組かえようよ。私、あの人みると気持ち悪くなるから。」

「環緒はイケメンがキライだからね。パパ、チャンネル変えてあげて。」

「そうか、環緒ちゃんは空手が彼氏だもんな。」

「え~、ちがいますぅ。私にも・・・」

図星だったが、悔しくて、抵抗してみたが、嘘はばれていた。

「それじゃぁ、環緒ちゃんはどんなタイプが好みなんだ?」

隆三郎おじさんは、面白がって、からかってきた。

「え~内緒。ないしょだよ~。」

適当にはぐらかした。これ以上無理だ。

「りあ、あっち行こう。」

 

楽しい時間はあっという間にすぎ、隆三郎おじさんと絆愛は帰って行った。

 

to be continued