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返ってきたミトラ通信

おおいなる調和を目指してしなやかに生きる。

Planet-10

それから数日後。

今日は、いよいよ転生の日となる。
この星の最後の日だ。
この星には、また戻ってくる。また戻ってくるのだけれど、いつ帰れるのか。
そう思うと、なんとなく寂しくも感じる。
それでも、地球に行けるかと思うと、ワクワクもする。

「それじゃぁ、行ってきまーす。」

「あぁ、時間だね。」
「まさかあんたが地球に行くとはね~。地球行きは、久しぶりなんだって?
「なんでも、あんたのひいおじいさん以来だっていうじゃないか。」
「やっぱり、ひいおじいさんの霊統なんだね~。」

「それはオーバーだよ。」

「そうなのかい?」
「なんだっていいよ。とにかく、すぐ帰ってこれるといいね。気をつけていっておいで。」
「そうそう、これを渡しとかなきゃね。これはね、あんたのひいおじいさんの形見だよ。これを埋め込んでいきな。きっと、役に立つよ。必要になったら使いな。」

形見は、剣だった。
銘が入っている。「蒼炎」というらしい。
曾祖父のことは、ボクは、実は知らない。
曾祖父は、地球に転生していたらしく、
「将来、我が霊統から、地球に転生する者が出たら、この剣を渡すように。」
と言い残して去って行ったようだ。

地球で、厄介なものと出くわしたときに、この剣で斬っていたらしい。
厄介なものは何かって?
さぁ、それは、全く分からない。
厄介なものはなにかって聞いても、笑っただけで、具体的なものが何なのかは言わなかったらしい。

ボクは、この「蒼炎」を埋め込んだ。

因みに、ボクの祖父も、父も、地球には全く興味が無かった。
’地球’と聞くと、「あんな野蛮なところ。」と言うのが口癖だった。
だから、祖父も、父も、ボクの地球行きには大反対だった。

反対なのは、ボクには直接言わないけど、母には、強烈に言っていたらしい。
よく母がボクに漏らしていた。
祖父と父が、反対だというのをボクに直接言わないのは、ボクが言い出したら聞かないのをよく知っているからだろう。

「母さん、そろそろ行くよ。」
「あぁ、行っておいで。」

母は、ボクが塾に出かけるときと、全く同じように送り出そうとしているようだったが、寂しさの波動が伝わってきた。
やはり、毎日会わなくなると思うと寂しいようだ。


ボクは、宇宙転生センター行の宇宙バスの停留所に向かった。そこは、みんなとの待ち合わせ場所だ。

停留所に向かう間、冷たい風が吹き荒れていた。
風に乗って、植物たちの種子が散っていく。
種子たちが、恒星の光に反射して、キラキラと輝いている。
あの種子たちも、行くべきところに着地するのだろう。

冷たい風の中に、一筋の優しい空気の流れが交じってきた。
優しく寂しい波動。
祖父から送られてきたテレパスだった。
祖父は、出がけに顔を見せなかったが、ボクの出発のことは、やはり気になるようだった。

「まぁ、なんだな。達者でな。また帰ってこいよ。」

しばらく歩くと、別の波動がきた。暖かく悲しく、そして鋭い空気だった。
父からもテレパスが送られてきた。父もやはり、気になったようだ。
「自分で決めたこと。地球でどれくらいかかろうと、何があっても、最後までキッチリやってきなさい。」

ボクもテレパスで返した。
「ありがとう。そして、ごめんなさい。行ってきます。」


停留所に到着して、塾のクラスメートと合流した。
ボクが最後だった。
「ごめん。ごめん。遅くなったね。」

「よし!全員揃ったな!」
火星行きのクラスメートが言った。

ほどなくして、宇宙バスがきた。
そろそろと、順番に宇宙バスに乗りこんだ。全員が乗り込んだところで、扉が閉まった。
そして、宇宙転生センターに向けて、宇宙バスが動き出した。

「このバスは、・・・経由、宇宙転生センター行きです。」

動き出すと同時に、バス船内には案内が流れた。


to be continued