読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

返ってきたミトラ通信

おおいなる調和を目指してしなやかに生きる。

He's K

Kという奴。

誰に教えてもらったか、もうとっくに忘れてしまったが、遠い昔、僕らは、卓球をして遊んでいる時期があった。その一時期、僕らの間でかすかなブームになっていた。その頃よく遊んでいた近所の友達の家の庭の片隅には、卓球台があったのだ。

ある放課後、卓球をしに近所の友達の家に向かった。卓球台のある庭には、西日が差し込んでいた。
そんな日だった。Kという奴も一緒だったのは。

Kはそれなりに卓球のうまい奴ではあった。少なくとも僕よりは。
Kは、僕が来たのを知ると、あからさまに嫌な顔をして、
「下手とやると下手になるから、お前とはやらない。」
と僕に言った。

そうは言いつつも、順番が回ってきて、Kはしぶしぶ、僕とやることになった。かわいそうだからやってやると言わんばかりの態度だった。

最初のうちは、僕はKに負けていた。
けど、途中から、Kは、僕の繰り出すサーブに返せなくなった。Kは打ち返しても、球がネットに引っかかる。またうち返してもネットに引っかかるのだった。
ついには、僕はKに勝ってしまった。

後から分かったことだったのだが、僕が繰り出したサーブはカットというものだった。そのときの僕は、そんなことは知らず、独自にカットを見つけていたのだった。

Kは、その後、僕には、
下手とやると下手になるからやらない!
とは二度と言わなかった。

卓球ブームは、いつの間にか去っていった。あの卓球台はどうなったのだろうか。

因みに、Kは、進学後、卓球部に入部した。
Kが卓球部で活躍してたかは、どうだったか、もう忘れてしまった。
なにせ、すいぶんと昔のことだから。

~この物語はフィクションです。登場する人物等は架空であり、実在とは関係ありません~